山上智の「平成のXファイル」飛来・NO-1310

「平成のXファイル」飛来・NO-1310

 

名前は、筆者。職業はオカルト・古代史探偵。

相棒のハンターは、ハッキングの名手で身元不明の女の子。
東京ベイテレビの「K」という謎の人物から毎回、不可思議な仕事依頼がある。

 

2011年の11月14日、世間では酉の市で賑わっている日である。ここのところ冬だと言うのに晴天が続いていて暖かい。

ハンターも暇ボケだろうか、パソコンの手を休めてペーパークラフトを作っている。

丁度、昼食の12時になろうとしている時であった、ドアがノックされた。ハンターが出てみるとIGHの美人女性とその背後に体格がガッチリとし、四角い顔の男が立っていた。

ハンターがどうぞと中に招き入れて、筆者の前のソファに座らせた。美人女性は天鷲翔子であり、四角い顔の男性は40歳代後半の感じがした。

天鷲翔子が、

「IGHの私のボスの黒川康夫です」

黒川は、名刺を差し出して軽く会釈をした。天鷲女史は黒いカバンからA4サイズの四角い茶封筒を差し出した。

その茶封筒の右下には、35の桐の上に赤い文字でIGHと書かれてあり、左上に赤い印で「極秘」と書いてあった。

天鷲女史が中から書類を出した。やく3枚ぐらいの書類に文字がびっしり書いてあるのが見えた。

それを筆者の前に差し出された。手にとって目を通した。ざっとこんな内容だった。

 

 

 

「第二次大戦中、南極にナチスがUFOの基地を作っていたという。終戦になると今度は米海軍が艦隊を送り込み大規模な調査を決行(ハイジャンプ作戦)1959年には南極条約の締結により、南極地域における領土主権及び請求権の凍結が決定する。
まず初めにはっきり言っておくが宇宙人はいる。
 ロズウェルに堕ちてエリア51に収容されたアレではなく、遥か有史以前よりかつてはアトランティスと呼ばれたこの大陸に定住している、在来種の宇宙人だ。これは信じるとか信じないとかのレベルではなく、そこに居るんだから仕方がないとしか言いようが無い。
しかもその歴史は人類創生どころか地球誕生以前まで遡るのだ。
 南極には9個のドームが存在するが、中心の1個だけは入り口がないので中がどうなっているのか誰にもわからなかった。が、南極に住んでいる人間の中で長老と呼ばれる人物がここに誰かが出入りしているのを目撃したという。
この”開かずの間”に住んでいる宇宙人こそ、南極の宇宙人のリーダー的存在、
マザー(Mother)である。
 UFOは地磁気を利用して飛行する仕組みなので、磁極に近い方が安定した離着陸ができる。
 造物主である宇宙人からすれば人間など家畜やペットと同じ扱い、気に入らなければ捨てるか処分するしかない。そうやって幾多の文明がこれまでリセットにより滅ぼされてきた」
 

 

 

 

 

 

 

これを読んで筆者は思わず、笑ってしまったが、四角い顔の黒川氏は真剣な顔をして筆者を見つめていた。

そして、黒川氏が口をひらいた。

「これを読んで、どのように感じられますか?」

筆者は返答に困って、逆に質問をした。

「なぜ、この文書の出所はどこなのですか?」

多少丁重な言葉で聞き返した。

黒川氏は、2,3分黙っていたが、意を決したのか話し始めた。

「実は、この文書の出所がわからないのです。ただ、これによって全国で被害が出ているのは事実なのです」

筆者は、ハンターにその書類を渡した。

黒川氏はこんな小娘に何がわかるのかというような顔をしてハンターを見つめていた。

ハンターが調べている間に筆者は、黒川氏に向かって文書の中の疑問点を指摘した。

「この文書の冒頭に、第二次大戦中、南極にナチスがUFO の基地を作っていたという。ところに最初の疑問が生じますね」

そのように、前置きしてから筆者は話始めた。

「そもそも、第二次世界大戦は、1939年から1945年までの間にの大戦を言いますよね。ナチスヒットラーが1933年に首相、翌1934年に総統に就任。ドイツの全権を掌握すると、1940年5月10日にヨーロッパ西部にヨーロッパ西部に侵攻を開始しましたよね。つまり1940年の第二次世界大戦の時に全勢力を傾けて世界大戦に参戦しているのですよ。その様な時に、南極にナチスがUFO の基地を作っていたという自体不自然ではありませんか」

筆者はさらに続けた。

「6月14日ドイツ軍はパリを占領、フランスを降伏させた。さらに同年8月からドイツ空軍の爆撃機・戦闘機がイギリス本土空爆バトル・オブ・ブリテン)を開始。イギリス空軍戦闘機隊と激しい空中戦となる。その結果、9月半ばにドイツ軍のイギリス本土上陸作戦は中止された。1941年6月22日日、独ソ不可侵条約を破棄してドイツ軍はソ連へ侵入し、独ソ戦が始まった。それ以降、ソ連は連合国側に立って参戦する事となった。ドイツ軍はウクライナを経て同年12月、モスクワに接近するが、ソ連軍の反撃で後退しましたよね」

「もしもですよ、ナチスがUFOの基地を作っていたのならば、その知識は何処から得たのでしょうか。そしてイギリスとの空中戦の時にUFOを何故使わなかったのですか」

簡単な疑問を黒川氏に提示した。

「さらにヒットラーは、1945年4月30日にベルリンでピストル自殺をしてますよね」

このような簡単な内容なら戦争お宅なら誰でも知っている内容なのである。このような話を黒川氏した。

その時である、ハンターが声を出して大笑いをした。

「貴方たちIGHの中に相当被害にあった方がいましたね。黒川さんもその被害者の一人じゃあないですか」

さらにハンターは、笑いを押さえながら、

「インターネットの会員制のサイトの中にそのコミュニティはあったわ。こんな単純なサイトの被害に遭うとは、IGHも程度の低い集まりだわ。何が女性宇宙人のマザーよ、それも金髪だなんて・・・・」

さらに大笑いをしてハンターはトイレに駆け込んで行った。

筆者も思わず笑ってしまった。

「失敬、あまりにも子供だましの内容につい笑ってしまってしまいました。この「極秘」という文字は自分たちの恥を隠すための文字なのではないのですか」

黒川氏は、単純な性格なのか苦笑いしながら、

「ありがとうございました。やはり貴方に相談して良かった。実のところ困って天鷲くんに相談したら、ここに連れてこられたのです」

天鷲翔子は、得意になって、

「ほら、言ったでしょう。見かけは胡散臭いけれど、このような内容は抜群の知識の持ち主なのよ。それとさっきのお嬢さんは、ハッキングの名手で、IGHでも手を焼いている娘さんなのですよ」

そう言いながら、黒川氏は分厚い茶封筒を筆者に差し出した。

「この事は内密にお願いします」

そのように言って、天鷲女史と黒川氏は事務所を出て行った。

戻ってきたハンターが、茶封筒の中を開いてみると300万入っていた。

「今夜は、焼肉が食べられるわね」

さらに続けて、

「今回の被害者は、警察関係者や政府関係者もそうとうの数が入っていたわ。しかし宇宙人が創造者の神とは、詐欺師も相当な知識を持っているようね」

 

今回のような、詐欺まがいのコミュが多くあることを読者は知っておいた方がいいだろう。被害者は今後も増えると予想されるだろう・・・・・